利用と満足研究は、人々がマスメディアをどのように利用し、そこからどのような満足(欲求充足)を引き出しているかを調べるということから命名されたものである。受け手研究のもう一つの主要なアプローチである効果研究では、マスメディアの送り手やメッセージを分析の起点として、それが受け手にどのような変化をもたらすかを追究する。これに対して、利用と満足研究は、受け手個人の欲求を分析の起点として、受け手が自らの欲求充足のためにメディアをどう役立てているかを調べる。研究対象は同じマスメディア利用行動であっても、利用と満足研究の視点は、効果研究のそれとはきわめて対照的といえる。利用と満足研究の嘔矢となるのは、1940年代のアメリカで、ラザーズフェルドを中心とした研究者たちによって発表された一連の論文である。彼らは、ラジオの人気番組などを題材とし、その受け手の少数に入念な面接を行うことにより、受け手が同一のメディア内容から、個人個人じつに多彩な充足を引き出していることを明らかにした。だが、方法論的な問題もあり、50年代以降になると、この研究系譜は下火になってしまう。利用と満足研究が“復活”するのは、1970年代初頭である。きっかけとなったのは、イギリスの研究者マクウェールらの研究である。質的調査(グループインタビュー)と量的調査とを結合することで、マクウェールらは、マスメディアにの時期、主たるメディアはラジオからテレビに移っている)から人々が引き出している充足を、統計的手法に基づき類型化することに成功したのである。その後様々な実証的研究や理論的定式化の試みが積み重ねられ、利用と満足研究アプローチは受け手研究の中で、現在に至るまで隆盛を誇っている。
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