語学の上達方法

2011.08.12

一九七〇年は大阪で万国博覧会が開かれました。会期中は、毎週外国人がチャーター機でやってきたので、当然のことながらガイドや通訳の数が足りませんでした。私も駆り出されましたが、このときはグループのツアーなので、バスのなかでマイクをもっての説明です。日本の歴史や文化、また政治や経済に至るまで豊富な知識がなくてはなりません。それにはやはり丸暗記しかありません。早速、はとバスのガイドさんよろしく「日本は、四方海に囲まれていまして……」と始めました。するとさすがフランス人、最前列にいた人が、「話しことばでは、そういう硬い表現はしないよ」とヤジを入れてきました。もう、パニックでした。ガイドブックの暗記を見破られてしまったのです。確かに、暗記したことばは私のことばではなく、借り物のことばで、それを聞かされる相手の身になってみればいかにうんざりすることでしょう。テープを流しているのと同じことなのですから。それ以降、私はガイドブックを捨てて、つたなくても自分のことばでしゃべる努力をするようになりました。私の語学修行は、無謀にもお金をいただくことによって、厳しいものになりました。語学の上達には、ときには自分の実力を商品化してみるのもよい勉強になるのではないでしょうか。