ネオリベラルの政策再編を最初に明示的に打ちだしたのは、イギリスのサッチャー政権、アメリカのレーガン政権であった。サッチャーは一九七九年に政権を握り、翌年には公営住宅をその借家人に払い下げる大規模な政策を開始した。公営住宅の借家人は割引価格での購入権を与えられ、公営住宅ストックの大量売却は「福祉国家の売却」を象徴した。レーガン政権は八一年に成立し、住宅政策を大胆に縮減した。同年の大統領の住宅委員会は「民間セクターへの依存」「規削のない自由な住宅市場」「最小限の政府介入」などを住宅政策の基本方針とした。
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イギリスとアメリカから始まった新自由主義の政策転換は、広範な諸国の住宅政策に影響した。先進諸国では住宅システムの再編が持家取得を推進した。第一に、多くの国の政府は社会賃貸セクターに対する援助を弱め、それによって多数の世帯を持家取得に誘導した。住宅購入を支援する施策が拡大したとは限らない。しかし、社会賃貸住宅の供給減少は多数の世帯を持家市場に向かわせる。イギリスでは税制上の優遇策が持家取得を推進していた。この施策は一九九三年に廃止され、持家購入促進の誘因は減退した。しかし、公営住宅の大規模な売却政策は、それ自体がダイレクトに持家を増やすと同時に、公営住宅入居の機会減少を意味し、持家取得の推進に結びついた。