私は、栄養療法を中心とした診療を日々行っています。栄養療法を行っている医師というのは、日本では非常に限られた存在ですので、ご存じない方もいらっしゃるでしょう。栄養療法というのは、簡単にいえば、いわゆるクスリを使わず、人間の体がもともと利用しているビタミンやミネラルといった栄養素を主に使って、病気の予防や治療を行う方法です。私のクリニックに来るまでに、患者さんのほとんどは自己流でビタミンやミネラルといった健康(栄養)補助食品(栄養補助食品)を使っています。しかしどうも調子が良くない、何か使い方が間違っているのだろうかと不安になり、カウンセリングを受けに来だのが、Aさんでした。Aさんは、これといって病気があるわけではありません。最近少し仕事が忙しく、疲れ気味で、健康のためにということで健康(栄養)補助食品を摂り始めました。しかしどうでしょう、体調が良くなるどころか、体がだるくなるような感じさえしてきたというのです。血液検査をすると、GPTという肝臓の酵素が高くなっていました。GPTという酵素は、もともと肝臓の細胞の中にある酵素ですから、通常は肝細胞の外を流れる血液中には多くありません。ところが肝臓に負担がかかると肝細胞が壊れて、中にあったGPTという酵素が外に出てしまい、血液中のGPTの値が高くなるのです。血液の検査で肝臓の状態が分かるのは、こういう仕組みです。